酒販店・酒屋・卸業者をお探しなら業酒連ホームページで 業酒連とは

全国酒類業務用卸連合会20周年第21回全国大会

全国酒類業務用卸連合会(業酒連)は、日本国内に於いて、酒類の業務用卸を行う各地域の 代表的商社を以って構成された団体で、略して、業酒連と言います。
全国約200社の大手業務用酒販店で構成された組織です。


酒販店・酒屋・卸業者をお探しなら業酒連ホームページで 会長のご挨拶

会長

 明けましておめでとうございます。
 昨年、平成29年・2017年は酒類業界人にとって決して忘れる事の出来ないエポックメーキングな年となりました。平成18年8月31日国税庁が、平成10年4月に発した「公正な競争による健全な酒類産業の発展のための指針」を全文改定し発した、新たな「酒類に関する公正な取引のための指針」がほぼ全面的に法制化され免許に係る罰則も附加されました。
 平成15年9月1日に小売酒販免許実質自由化を迎えて以来、酒類市場は日に日に軟化し誰れもが憂い、嘆き、希望を失った多くの業界人が去りました。一方大手資本の力による寡占化誘導は着実に進行し、その混乱に輪を掛けました。酒類は国家の重要な財政物資であるとの認識は薄れ、その取り扱い業者であるとの矜持は地に落ちました。
 その間、心ある業界人は様々な角度から種々の手法を以ってこの局面の打開を図りましたが何一つ有効な手立ては無く諦念を深めるばかりでした。昨年6月1日この深い闇に一筋の光が差し込み、日を追うに従いその光は拡がりやがては全体に及びました。「酒税法及び酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律」が施行された日です。酒類業の監督官庁である国税庁は、新法施行を以って酒類業界に二つの概念を提唱しました。「合理性」と「酒類業の持続可能性」です。この概念が個別取引の中で逸脱しているか否かは国税庁が判断し、不公正な取引方法であるかは公正取引委員会が判断する事も規定されました。この日から誰れもが出来なかった、他商品を売る助けをする為の囮商品化した酒類の価値は復権しました。業界を支配していたこれまでの負の価値観は一変しました。要は誰れかが犠牲になって成り立っている事柄は不公正であり、それを続けることは許されないという事が示されたのです。
 業界を一夜にして変えた新法成立に永年力を尽されていた全国小売酒販組合中央会には敬意を表しなければなりませんが本法律が施行され、これ程短期間に全国規模で伝播できたのは、自画自賛との謗りを承知の上で記述致しますが業務用酒販業団の力だと思っております。
 当会は本法律が成立した2016年5月以前より本法律に注目し、学習をしておりました。成立後は積極的に関係各方面に意見を開陳してきました。勿論、私共の意見が具体的に取り入れられた訳ではありませんが、酒販業界にあって、小売りでもない、卸でもない、しかもその取扱量は10%程度の業務用酒販の、云ってみればニッチな業団の存在が他の業団と同等に国税庁に認識された事は極めて大きな力になったと思います。
 条文に取引状況実態調査の実施に関し、酒類業者の取引のある料理飲食店に対して酒類業組合法第91条質問権を行使する事が盛り込まれる事により実証されました。
 30年間に亘る当会(全国酒類業務用卸連合会)の任意団体ではあっても胸を張って業務用卸分野の確立と業務用卸免許の確立を目指した実績が顕在化した瞬間であったと受止めております。
 昨年は、全国会員への啓蒙に全力を注ぎました。誰れもが今ある姿を信じておりませんでした。ある会合で会員から「業酒連の役員がそんな夢みたいな話をして我々を騙し、出来なかったらどう責任を取るのだ」とか「役員が卸と組んで卸に利する取り決めをするのか」等々の厳しい言葉がありました。これがその時の現状だったのです。
 それに臆する事なく意思を貫いたお陰で酒類業界では、当会会員が新法施行の先陣を切りました。その後に他業種が様子を見ながら追随してきました。意外に早い拡がりを見せたのは先頭が全力で走ったからと自負しております。厳しい言葉をぶつけた会員も「業酒連の会員で良かった」と云ってくれております。
 昨年一年間の活動を通じて、業務用酒販の先頭を行く当会が酒類業界変化の鍵を握っている事を実感しました。
 当会は、昨年創立満30周年を迎えました。30年前酒類流通に係る規制が国策の下に大幅に緩和され、その立場は相対的に下落すると予見した先輩諸氏が業務用酒販業を全国規模で糾合し業界唯一の政策団体を樹立する事により酒類業務用業の社会的地位向上を図るという構想を抱き当会は設立されました。
 その後の酒販免許の形骸化による酒類業界全域に亘る混乱を目の当たりにして、如何に先見性のある行動であったか、且つ有用であったか、多くの業界関係者の理解を得たと思います。当会はその間、着々とその地位を固めてきました。その活動は行政当局にも生産者にも、大手特約卸にも、任意団体であっても酒類業務用卸業を代表する団体として認知され、様々な変化変革の窓口としての役割を果すに至りました。
 規制緩和の波の間に多くの生産者、卸がその姿を消しました。小売酒販業者の66%近くがその存在を消しました。その中にあって酒類流通業の正当性を伝承する業団として認知されその役務を果すに至りました。その力は此度、如何無く発揮されたと思います。ただここで危惧する事があります。それはマスコミの一部が、今回の法施行による一面だけの現象を捉え「官制値上」のレッテルを貼ろうとしている事です。そしてその発言に業界人誰れもが反論しない事に大きな違和感を持っております。改めて国税庁が発した公正取引基準を読み返すべきです。ここには値上をすべし等の文言は一言半句もありません。価格に関する表現は合理的価格しか表現しておりません。又、競争も制限しておりません
 当初、会員の方々と質疑応答していた折り、一番多かった発言は「これでは競争は無くならない、会社によって仕入れも違うし経費も違う、当然価格は違ってくる。それにより顧客が侵害されたらどうなるのか」です。答えは明瞭です。如何に経営努力をして合理的価格を打ち出し、競争に打ち克つが重要です。この法律の重要性はその合理的価格の合理性を行政当局が判断を下すという点なのです。最後に昨年末発表されたビール各社の値上について所感を述べたいと思います。先ず驚いたのは値上事由が此度の新法に依拠しております。それは酒類業界の混乱の中でビール会社もまた総原価割れになっていた証左です。それならば何故、生産者の責務として市場の混乱を治めるべく何等かのアクションを法律以前に起さなかったのか疑問を持ちました。今回を契機に日本を代表する酒類生産者としての矜持を以って業界全体に目配りをして頂きたいと思います。所で、この生産者値上をマスコミはどう表現するのでしょうか。私共の行動を「官制値上」と揶揄しました。それなら此度の生産者値上も「官制値上」と云うのでしょうか、注目しなければなりません。
 変化は変化を呼びます。今ある事が砂上の楼閣に終わらぬ為には、一人一人の自覚が大切だと思います。

 本年は予て業酒連が唱えていた、一見矛盾とも思える「共存共栄・適者生存」の言葉がすっきりと腑に落ち、理解の始まるスタートの年になる事を願って止みません。


全国酒類業務用卸連合会 会長 榎本一二