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全国酒類業務用卸連合会20周年第21回全国大会

全国酒類業務用卸連合会(業酒連)は、日本国内に於いて、酒類の業務用卸を行う各地域の 代表的商社を以って構成された団体で、略して、業酒連と言います。
全国約200社の大手業務用酒販店で構成された組織です。


酒販店・酒屋・卸業者をお探しなら業酒連ホームページで 会長のご挨拶

会長

 明けましておめでとうございます。会員の皆々様には困難にもめげず越年されました事、心よりお祝い申し上げます。
 思いもよらない苦難の一年でした。歳があらたまったからと云ってこの苦しみが去ることはありませんが年明と共に何かが変わるとの思いを託したいです。
 昨年一年間総会は開く事叶わず、各種集会もそこそこの体たらくでしたので、全国会員のご苦労は実感として伝わって来ないのですが、一社も抜けず全会員各社がその地域での影響力を保ち続けている事に大いなる喜びを感じております。会員皆様と酒類業界変革の30数年、行動を共にしてきたことを誇りとしております。
 当会がコロナ禍による変則を強いられているにも拘わらず確固たる体制を維持させ得れば、業界の衆目を集め、やがては会勢の拡大につながり、酒類業界に存する不適切・不確実・矛盾の解消に大いに資すると思います。
 人類が築き上げた科学の進歩は目を見張るものがある事は誰しも認める所ですが、此度のパンデミックは止める事ができませんでした。中世ヨーロッパでのペスト禍の、時に為政者が「家を閉ざせ」「村を閉ざせ」「街を閉ざせ」「神に祈れ」と唱えたと全く同じレベルの指示を、700年後の為政者が国民に指示した事には驚きと失望を禁じ得ませんでした。
 しかし、科学は間違いなく進歩していたのです。昨年末以来各国からワクチンの生成に成功したとの発信があり、既に多数の人々が応じたとの報が伝わっております。
 生成に3~4年掛ると云われていたワクチンが7ヵ月で完成された事になります。人類の叡智が成し遂げた快挙だと思いました。
 年が変わりそろそろ私共はコロナ後を考えなくてはなりません。多くの評論家はアフターコロナの変化を言い募っておりますが、過去の例からして、それは殆ど当たるとは思えません。その時が来ると後付で糊塗するだけです。ただ過去の災害はその最中の困難より、その後の苦難が一層のダメージを与えると云われております。心しなければなりません。
 そこで、その苦難を最小限に止めるには何をすべきか考えてみました。何を置いても私共がやらねばならぬ事は次の事項だと思います。

 ① 調達資金の返済
 ② 累積欠損の解消
 ③ 棄損された資本の充足

 兎にも角にもこの三点を解決しなければ始まりません。更に時間をおいて、もっと大きな課題を押し付けられます。

 ① なりふりかまわず支出した財政支出補填の為の各種税の徴収強化
 ② 本来政府がやるべき労務政策の肩代わりによる働き方改革の強化
 ③ メーカー支出の圧縮強化

の三点です。
 さらに考えられますが、評論家的論法になりますので、これまでにしておきます。
 でも、この六点考えてみればその解決は難しくありません。利益を確保する経営をすればいいのです。さわさりながら、利益高向上は酒類業界が最も不得意とする分野なのです。なぜでしょう。
 酒類業界人は順法精神と経営者資質に欠けているからと云ってしまえば簡単です。でもそれだけでは無いと思います。
 過って存在した統制経済の残滓が払拭されていない事が影響していると思います。その払拭されていない残滓とは次の二点です。

 1.販売至上主義
 1.価格政策不在の生産者

過って酒類の価格は大蔵行政が決めておりました。微税の円滑と安定を図る為、取り分配分には流通には薄く生産者には厚くしました。同時に生産者を頂上に据えた業界秩序を構築しました。公定価格ですから安売りする人はおりませんでした。
 統制経済は昭和24年7月1日に廃止されましたが、その後販売免許の堅持が平成15年9月1日までなされ、この流れは維持されました。
 勿論行政による価格決定はとっくに終了していたのですが、その後も酒類の価格はそれまでの官制公定価格をベースにして、物価上昇分及び酒税上、下分を積み上げて決定されました。
 生産者は何の思い入れも無い、緊張感もない、他の加工食品では考えられない利益取り分を含んだ価格を決定し続けたことになります。
 経済成長に乗り、生産者は売れば売る程儲かりました。販売至上主義はここから始まったのです。
 生販利益配分の矛盾はリベート、協賛金名目でその一部を恣意的に料飲業者も含む流通に流し、その解決を図りました。
 流通業者にも売れば売る程儲けになるとの思想が植え付けられました。市場が拡大しているときは当然効果が有りましたが、需要縮小局面に入ると過当競争を呼び込み、安売りが現出したのです。安売りは安売りを惹起し止める事が出来なくなってしまったのです。
 行政がこの事態を憂い平成29年6月1日公正取引基準が施行されました。にも拘わらず安売り競争への誘惑は止りません。販売量至上主義が無くならないからです。
 本来酒類はその特性から「売らんかな」は不適切であり、節度を以って抑制されるべき商品なのです。故に免許制度が世界的に存在するのです。
 この事態に遭遇して生産者は酒類業の頂点に位置している存在である事を改めて認識して本来の責務に立ち返り業界安寧を図るべくこれまでの販売量至上主義の方向転換を図るべきです。
 その為には、官制価格が下敷になっている借り物の価格制度から自からの経営哲学に基づいた価格制度を再構築すべきではないでしょうか。
 ましてやビール四社が、自からが主動した売上数量至上主義に起因した安売り競争に傷つく事を恐れ且つ価格改定による流通及び消費者からの不満を回避する事と合せて従来の厚い取り分を守る事を目的として、オープン価格制度を取り入れたのは、自己保身を意図した暴挙であり、その成長過程を辿れば生産者の矜持にも係る問題です。
 コロナ禍は突然訪れた災難ですが、コロナ後に公正取引基準が順法されなければ、自から招いた災難が降り掛り業界の前途に暗雲が立ち込めるのは必定です。
 その回避の為に、酒類生産者は他の加工食品生産者に倣い自社製品に対する責任と誇りを裏付けした価格設定を行うべきであり、就中ビール四社は三層価格制度に立ち戻り権威ある価格ガイドラインを流通に指し示すべきです。その実施に持てる力を傾注する時は今を置いて無いと思います。生産者各位のご高配を心よりお願い申し上げます。
 さすれば、統制経済の残滓が払拭され、我国酒類産業の持続可能性に資する事になると思います。
 本年も業酒連一丸となって、掲げた諸事業をやり遂げねばなりません。頑張りましょう。


全国酒類業務用卸連合会 会長 榎本一二